白濁したレンズの復旧

 
 本稿の情報を元に作業を行う場合は必ず事故の責任の元において実行してください。同じように行くとは限りませんのであしからず。失敗してレンズを壊しても私は知りません。

 ヤフオクでRICOH DIACORDを落札しました。まぁいつもの事ながらジャンク扱いだったわけですが、届いてみたらやっぱい大ジャンクだったわけですよ。前板やヘリコイドへの損傷はありませんが明らかに落下品。さらに長期間放置品で色々と不具合を抱えていたわけです。うち、ミラー室にたまったホコリとビューレンズ、ミラー、フォーカスマットの清掃、復旧は簡単に済みました。また、不動だったシチズンMVシャッターですが、これは単にシャッター羽根が張り付いていただけだったので、張り付きを剥がしてベンゼンで清掃して終わり。ここまでは簡単だったのですよ。問題は←写真のこいつなわけで……。

 実はこの後玉の写真はオートコードMXVのもので、同じような症状のボディをあと2台ほど抱えていたりします。MXVはメーカーがどうやら再整備してくれるっぽいので放置プレー状態ですが、リコーは整備してくれなさそうなので、自力で直してしまいます。

 さてはて、レンズの再研磨の情報といえば、やっぱりメジャーどころだとビュッカーさんのRange Finder記事や、たかさきさんの素人寫眞機修理工房記事などが上げられます。この2つの記事双方で使われているのは酸化セリウムという物質を利用した研磨剤です。酸化セリウムは化学反応に使用する物質ですが、ガラス関連ではガラスへの着色剤としての使用が有名です。また、望遠鏡を中心としたレンズの研磨にもよく使われています。酸化セリウム(2酸化セレン)はガラスより硬度があり粒子も細かいので利用されるわけですが、研磨時は物理的な理由のほかに、ガラスを化学的に溶解するという反応も起きており、物理的かつ化学的に研磨されていくのです。

 前置き説明が長くなりましたが、この酸化セリウムを主成分とするガラス研磨剤の新製品が出ました。それがこのキイロビンという薬剤で、カー用品店で400円前後で手に入ります。過去に出ていた酸化セリウム入りの研磨剤より含有率は低いみたいですけどね。で、こいつで磨いていくわけですが、手でえっちらおっちら磨いていてもラチが空きません。仕方が無いので電動工具の登場となるのですが……めちゃくちゃ不恰好ですみません^^;

 ダイアコードの後玉はは大体1時間前後の研磨でほぼ透明になりました。酸化セリウムてんこもりの研磨剤ならともかく、この程度の含有率ので手加減して研磨すれば、ある程度コーティングを残したまま研磨する事も可能のようです。ただし、他のリペア系サイトでも書かれていますが、酸化セリウム系研磨剤を使っての再研磨はあくまで最終手段です。自力でやる前にメーカーを頼ってみてください。意外と古い機種でもメーカー側で再研磨と再コーティングをやってくれるもんです。


 

 
(C)1998/2006 Takayuki Kazahaya