YASHICA MAT124G
YASHICA MAT124G


 
 ヤシカが最後に送り出した二眼レフ、それがこのヤシカマット124Gです。露出計を内蔵し、さらにちゃんとシャッター速度ダイアル&絞りダイアルと連動する優れものなのです。また、120以外に裏紙のない220フィルムにも対応し、圧板の位置を変更することで切り替えが出来ます(3枚目)。付いているレンズはヤシノン80mmF3.5(ビュー側はF2.8)なんですが、末期のヤシカには伝説と化したようなヤシカ製レンズの力は無かったのか、平凡な写りというのが世間の評判です。ちなみに手持ちのTLRでは一番新しい1971年発売のものです。124というのは120、220の両方使えるという意味で、Gというのは電気接点に金メッキ端子が使われているという意味なんだとか。

 まず握って戸惑うのはフォーカシング動作です。今まで使った二眼レフがミノルタコードやオートコード、ダイアコードといったレバー式ヘリコイドのカメラばっかりでして、ノブ式のTLRはこれが初めて。構えてテイクレンズの下側を手が探し捲くる事多数です。慣れるまでに時間が掛かりそうです。ノブ式って構造は簡単になるかもですが合理的じゃないなぁ。あと120のスタートマークが凄くヘンなところにあり、事前に知っておかないと中々気づきません。

 シャッター速度と絞りはレンズ左右についているダイアルで設定します。銘版のところがCdS式の露出計になっていて、この上部に追針式のメーターがあります(2枚目)。露出計の電源はフードに連動してON/OFFされます。露出計の赤い針と黄色いY字が重なったときが適正露出だそうです。ウチの機体の露出計は狂っております……。

 機構はすんごいんですが肝心の写りはといいますと、カラーに関して言えば正直ビミョー。いまいちぱっとしないというか、ある程度絞ってからの描写で比較すると、ミノルタコードのプロマーsIIIのほうが優れているのではないか、とも思える程度です。ただしこれがモノクロになったら全然違いまして、浮き上がってくるような立体描写など、ヤシカらしい描写に様変わりします。といってもモノクロもシャドーの伸びを意識した現像をした場合、という条件が付きますけど。

 国産二眼レフ最末期の機体なのでタマはそれほど多くありません。が、残っていれば状態のいいものが結構出てきます。残念ながら露出計がヘンな数値をたたき出してる個体が多いんですけどね。
(C)2006 Takayuki Kazahaya