KMZ Зоркии-4 (Zorki-4) |


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世界戦の煽りでライカが輸出されなくなったことにより各所で生まれたライカマウントのRF機群ですが、ソ連でも例外なく製造されていました。FEDから始まるソ連製コピーライカから独自の進化を遂げたのがこのゾルキーシリーズです。その製品としての質も含め、一番頂点に立つのはこのゾルキー4と小改良機のゾルキ-4Kではないでしょうか。
○Zorki-4とバルナックライカ
ライカ党の方々にゃ申し訳ないが、このЗоркии-4(以下Zorki-4)は当時としてはライカIII系よりも抜きん出たものだと思っています。Zorki-4がバルナックライカよりも進んでいる点は以下です。
・距離計とビューファインダーが一体になっている。
・しかもそのファインダーがかなり明るくて見やすいとくる
・シャッター速度ダイアルが低速・高速が1つにまとまっている
・底蓋と裏蓋が一体で外れるのでフィルム交換が楽
んじゃどこがいけないのかって言うと、機械的な信頼性に乏しい上に工作が甘いこと。ことソ連のシロモノです。個体差で当たり外れが当然ありますし、各所の立て付けがソビエトクオリティですから、異常に巻き上げが重いとかそんなところがあります。たとえば巻き上げ中に先幕と後幕のあわせがズレて感光しちゃうなんていうアホみたいなエラーを抱えてる個体だってあるんです。でもアタリを引いたらこれがなかなかによろしいものです。なんちゅーてもライカ様の1/10くらいのお値段で買えちゃうのがステキですよね。
○Zorki-4の前期後期?
さてはて、うちの個体はそんなЗоркии-4、英語表記するとZorki-4の中でも製造中期型に当たる個体です。正確には後期型の初期グループってところです。
・ファインダーの窓枠がない
・各指標が全部刻印
・細いアイレット
・シャッター速度が倍数系列
・ロゴは後期ロゴ
・シボ革が合成皮革
というのが我が家のゾルキー4の素性を知る手がかりとなりました。ゾルキー4の前期と後期の差はファインダーの対物窓でして、初期型はここに飾り縁取りがありますが、後期型は私の個体のようにのっぺらぼーです。また、シャッター速度が倍数系列に変っています。このへんが初期型との差異です。Zorki-4も末期になると手抜きなのかコストダウンなのか良くわかりませんが、アイレットがなくなったり、シャッターダイアルの指標が全部印刷になっちゃったりと、色々変わって行きます。67年前後の最終仕様だと指標が擦り切れて消えちゃってて見えない個体もちらほら。このあたりの手抜きは勘弁してもらいたいもんです。 |
○バルナック・ライカ系カメラの儀式
ところでやっぱりこいつもバルナック・ライカの血筋を引いているカメラです。ですのでバルナック・ライカの癖はそのまま持っているので、シャッターチャージとシャッター速度選択に儀式があるのです。というかまぁ、カメラの構造上の問題でこれは仕方がない操作なんですけどね。撮影時の操作手順ということになるのですが、シャッター速度ダイアルの操作をシャッターチャージ後にする必要があります。他所様のサイトでは「先にシャッター速度を帰ると先幕と後幕がズレることがあるから」とか描いているところもありますが、本当の理由は触ってみれば分かるのですが、チャージ後じゃないと正しいシャッター速度がわからないのです(苦笑)。左の写真がそうなんですが、上がチャージ後、下がチャージ前、同じ1/250sに設定してるのに全然違うところを指してますよね?現実的な問題、後から設定するしかないようにできてるんですよ。確かにチャージ前に操作すると多少幕がズレるのはたしかなんですけどね。
全体としては使いやすいカメラです。値段も安価ですし、バルナック系RF機の中ではナニゲにかなり頑丈な機体にも分類されるものです。これからLマウントRF機に手を出してみようって人には、アタリ個体を引いた場合はかなりオススメかもしれません。いや、はずれ個体がそれなりにあるので手放しではオススメしかねるんですが、昨今では思ったよりもスカを引く率は下がっているようです。安心して手を出したければキヤノンPとかあのアタリのほうがずーっと安全ですが、安価にLマウントを始めたいという方は一度試してみるのもありですよ。。 |
(C)2006 Takayuki Kazahaya |
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