DT200WR:フォークシール交換
 昨年秋頃にフォークオイルシールの破損が発覚してから放置プレー継続中だったこの3XP1ですが、やっとこさシール類を発注して引き上げてきましたので、このたびシール交換することになりました。倒立は正立よりDIYシール交換やりやすい構造していますしね。なんせインナーロッドやカートリッジポンプを抜かなくても作業できるんですから。ちなみに漏れたのは左ですが、14年モノってこともあり、同時に右側もシール交換してしまいました。
 
 まず必要なパーツ類ですが、最低限はオイルシール2つにフォークオイルだけでいけます。使用するオイルはカートリッジ・倒立用の01を使用します。間違っても10番とかの一般用フォークオイルは入れないで下さい。オリフィスやカートリッジポンプを痛める原因になります。

  フォークオイルシール型番
   →3SP-23145-L0
 
 
 ブツが揃ったところで作業開始なわけですが、いきなりフォークを抜いてしまうとあとでドツボに嵌ります。まずフォークがクラウンに刺さった状態のままトップ側だけクランプを緩め、その状態でトップキャップを緩めます。2回転ほど緩めておけばいいでしょう。トップキャップを緩めたらアンダー側のクランプも緩めてごっそりとフォークを車体から外します。
 
 フォークが外れたら今度はちゃんとトップキャップを外します。外し方はまずアウターケースとトップキャップを分離します。プにスパナをかけてえいやーってまわすと外れます。通常、常識的なバイク屋が作業したあとだったりメーカー出荷状態だったりした場合、簡単に外れるような程度の締め具合になっているはずです。

 インナーロッドとの分離は右写真のとおりで、フォークスプリングとスプリングシートを押し下げてやり、インナーロッド先端についてる17mmのナット部分にスパナを突っ込みます。その状態でトップキャップにスパナをかけてエイヤーとまわせば外れます。こっちはかなりしっかりと締まっているのが通常です。

 キャップを外したらスプリングを抜き、フォーク内部からオイルを抜き出します。カートリッジポンプ内にも結構な量のオイルが入っています。抵抗がほとんど無くなるまでシコシコと動かしてやらないと中から抜けてきません。しっかりここからもオイルを排出してやったら300ccほど灯油や洗油を突っ込んで内部洗浄します。この洗油もしっかりと排出し、逆さまにして暫く油切りしておきます。左右両側やるんだったら油切りしている間に反対側の分を作業していると効率がいいです。
 
 オイルの排出が終わるとフォークガードのスライダーを外します。続いてダストシールを外します。すると中にサークリップが見えるのでこれも撤去し、アウターからインナーを引き出すようにガンガンと何度かやるとごそっとインナーとオイルシール、リテーナー類が抜けてきます。左写真の順にこの辺のパーツが入っています。順にダストシール、サークリップ、オイルシール、リテーナー、アウター側メタル、インナー側メタルです。この順は忘れないように。

 続いて組み付けですが、インナーのトップにビニールをかぶせ、そこにグリスを塗りつけ、シールのリップ側にもグリスを塗ってダスト、オイルの順にインナーへ通します。ダストはスプリングがあるのが外、オイルはスプリングがあるのが内とそれぞれ逆なので、この辺は要注意です。リテーナーとアウターメタルを通し、インナーにもメタルをつけたらアウターに突っ込みます。で、アウターメタルから順番にガンガンと叩き込んでいくのですが、専用工具を買うのがもったいなくて私が思いついたのが左写真にある塩ビ管です(苦笑)。これで結構ちゃんと打ち込めるもんなんですよ。メタルを打ち込んだ同じ要領でオイルシールも打ち込んでいきます。
 
 
 シールが組みあがったらオイルを注ぎます。片側460ccチョイというデータがありますが、正確にはスプリングを抜いてインナーロッドがもっとも縮んだ状態において、アウター先端から98mmの油面高さ、というもの。これも本来なら専用工具があるんですが、わざわざ買うのはもったいないのでシリンジとφ6mmアルミ管で右写真みたいなのをデッチ上げちゃいました。油面を合わせるまでにはしっかりとカートリッジポンプ内の気泡を抜いてやる必要があります。気泡が抜けた状態だとインナーロッドを上下させるのにかなり力がいるようになってるはずです。この状態で油面調整をし、あとはバラした逆順でくみ上げれば終わりです。

 ただし1つ注意しなければならないのは最後のトップキャップの締め付けです。ここ、アウターを手で持った状態でキャップにレンチをかけ、軽く締まる程度のトルクで充分です。アホほど締める必要はないです。
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