MT-09 tracer : Krauser System K2 ウィングラックの増設
○なじぇに今更KrauserK2なのか
 3GM-FZR1000時代にバイク仲間から貰い受けて使い始め、4EP-TDM850でもGIVIモノラックと共存設置させて便利に使っていたクラウザーK2パニアですが、YZF1000Rはシートカウルのエラが張りすぎているのとマフラーがアップタイプでハコに当たるのでNG、TDM900は結構大掛かりな金具設計・製作が必要で設計検討段階で車体売却となり、8年ほど倉庫で眠っていました。5年間使っていてかなり便利でしたし、MT-09 tracerは最初っからパニア設置を念頭に置いた車体設計でハードポイントがカウル外に露出していますので、純正キャリア+GIVIモノキーケース+クラウザーK2パニア30LというTDM850時代以来の組み合わせを実現させる方向で動き出しました。なにより、TDM850やTDM900と違って完全に車体無加工で載ってしまうのが確実なのが実行の理由でもありますし、MT-09 tracer購入の動機の半分くらいはパニアが簡単に取り付けられるというのがありました。K2を使う理由は最後にも写真を出しますが、ひとえにその薄さですね。
 
 余談ながらFZR1000、TDM850(前後期共通)ともにクラウザー純正のフィッティングがあったのですが、FZR1000はシートフレームに渡す横桁を逃げるための切りかきが、TDM850はシートフレーム下側に隠されたM8ハトメへのアクセス用の穴あけとシートカウルの逃げの切りかきが必要でした。MT-09無印でも純正キャリアを付けるにはフェンダー底面への4箇所の穴あけ加工が必要になるんですが、MT-09 tracerは標準状態で荷掛けフックを兼ねた純正パニアケースの取り付けラッチがついており、取り付けボルトもカウル外へ露出しています。これを利用してウィングラックを設置する作戦です。

○材料の検討
 まず、現在手持ちで保存しているクラウザーK2ウィングラックの部品を調べてみると、薄い鉄の円板にM8の特殊ボルトが付いている「エキセントリックカム」が8枚、TDM850専用の4.5mm鉄板をプレスして作ったエキセントリックカムが短2つ長2つの合計4つ一式、その他もろもろの取り付け金具類です。FZR1000用とTDM850用が全部一式揃って残っている状態でした。実際にMT-09 tracerをバラして仮付けして組み合わせを検討してみたところ、「TDM850で使用するエキセントリックカム一式」「FZR1000にGIVIモノラックを取り付けるためのスペーサー」「ワンオフで作る簡単なステー」で取り付けられることが判明しました。ただし、TDM850用エキセントリックカムのうち、t4.5mm鉄板を加工してある部品の長い奴は曲げなおし加工が必要となります。
 
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 新規で作成する必要がある金具は2種類4つです。1つはピリオンステップに取り付けるアタッチメント、もう1つはそのアタッチメントとウィングラックを繋ぐ板です。実はピリオンステップに取り付けるアタッチメントは測定を間違えていて寸法が大幅に違うという、GIVIのアダプタと同じ結果にorz(修正版の作成依頼中:下図は修正版図面)

(クリックすると拡大図がポップアップします)
 
 設計した部品は自力では加工できませんので、古くからのネット仲間で職場に加工設備がある奴に頼んで作ってもらいました。で、仕上がってきた部材を見て思ったのが、「うわー、クラウザー純正のアタッチメントより圧倒的に仕上がり綺麗じゃねぇか!」でした。いやほんと日本の製造業万歳です。
 
○フィッティング取付
 受け取った部品使って車体を組み立てます。GIVIモノラックやグラブバーとの位置関係、K2ケース自体のグラブバーへの干渉などを考慮した位置に設定したら、あとは本締めして固定するのみです。今回は残念ながらどうあがいてもグラブバーとK2が干渉してしまいますのでグラブバーは撤去しました。車検のときにだけ組み戻せばいいかーみたいな。初期段階では写真の通りグラブバー残置の想定でウィングラックを取り付けていましたが、現在はグラブバーを外す前提ですので、左右とも20mmずつ内側に追い込んで設置してあります。


 
 
○ウィンカー配線
 Krauserの汎用K2パニアのウィングラックにはウィンカーがついていますので配線組み換えが必要になります。K2のウィングラック側のギボシは一般的なギボシの雄端子が付いていますが、MT-09 tracerのウィンカーコネクタは最近のヤマハの標準仕様の040型コネクタが使われています。FZR1000やTDM850のときは車体側も同じ規格だったのもあり、テキトーに繋ぎこんでしまいました。しかし、今回は車体側は一切無加工が前提なのと、残存ケーブル長の都合で中間ハーネス必須なので、ハーネスを作成します。
 
 車体側への繋ぎこみの材料としての040型コネクタはデイトナから出ていますが、コネクタの樹脂部分が10個入り、端子部分が50個入りという超バカヤロー設定です。アマゾンでは入り数を減らしたものが売られていますが、なんか3つとか4つしか入ってないくせに600円しやがるので、結局ロット売りを買っています。どっちも定価は1300円です。一方、ウィングラック側は普通のギボシで充分なので、+も−もどちらもメス端子を用意します。
 
 部材が揃ったところで配線を繋ぎかえます。
 まず、純正ウィンカーを引っこ抜きます。純正ウィンカーのコネクタはピリオンシート下にあります。灰色のチューブに収められてるのでいまいち分かりづらいのですが、040型コネクタが付いている奴がウィンカー配線です。ウィンカー側のコネクタの黒色が右、灰色が左です。車体側は+配線が緑なのが右だったかな。灰色のチューブの下にある配線はヤマハ伝統の色分けの配線になっていますが、引き抜く前に元の配線がどっちのウィンカーと繋がっていたかを確認・記録しておきます。 
 
 
 元の配線経路を経由し、ナンバープレートホルダのところまで中間ハーネスを持ってきてK2のウィングラックと接続します。
 

 最後にウィンカーが正しく点灯することを確認したらOKです。
 
○総括
 いまさら新品でKrauser K2のウィングラックを買うようなことはないのですが、もし新品で購入した場合、ウィングラックのウィンカーにバルブは付属しません。また、80年代半ばの設計なため、ウィンカーバルブの口金のサイズも古いタイプのもので、最近のようなウェッジタイプとかでもありません。ですので、口金のサイズのあう、車体側についてるのと同じワット数のバルブを用意しなければいけません。まあ、こちらは遠からずLEDに改造する予定なので、当面はハロゲンで行く予定です。


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