ウチのハイゼット(通称:廃ゼット)ですが、ディーラーの指摘でミッションからのオイル漏れってのがあったのですが、その際にリフトアップして確認した時に私がもっと気になったのは、エンジンの前方からのオイル漏れでした。こっちのほうが酷くてヘッド付近が結構ウェットな状態になる勢いで漏れていたので、むしろ気にするならこっちだろうってちょっとダイハツディーラーの整備士の考え方に疑問をもったところでした。で、ミッションの油漏れは別に対策するとして、とりあえずヘッドカバーガスケットだけを交換してエンジン本体からのオイル漏れを防ぐとともに、ヘッドの中身をみてみることにしました。
○ヘッドカバーの剥離について
ちなみに、「ヘッドカバー」や「ヘッドカバーガスケット」という言い方はオートバイでの整備での話でして、四輪車の場合はここは「タペットカバー」、「タペットカバーパッキン」と言います。ちょっと作業中の写真がないので申し訳ナスですが、簡単に取り外しの流れを説明します。
1.ダイレクトイグニッション関係をとっぱらう
2.水冷パイプをテキトーな紐でくくってエンジン上方右舷側にまとめてしまう
3.細かい負圧パイプとブローバイ、オイルフィラーを取り外す(助手席側から)
4.助手席下にあるリレーボックスの固定だけ外しておく
5.ヘッドカバーから見えてる6本のボルトとカムカバーを貫通してる1本の合計7本を抜く
6.プラハンでコンコンして引っぺがす
で、この作業で出てきたヘッドカバーとガスケットがこれ。分解時点で123,500q走ってるんですが、そうは見えないスラッジの少なさは、オイル管理の良さとエンジンの回し方のたまものです。
さて、この出てきたヘッドカバーとガスケットですが、赤矢印で示したところからオイル漏れします。ハイゼットのEF-GSエンジンの場合、この4か所だけは角になっています。実はここ、カムシャフト関連が通るようにヘッド側の鋳物が出来てる場所で、オートバイだとカムシャフトが外に飛び出ないので、ヘッドもツライチならヘッドカバーもツライチなので、基本的にオモラシしません。しかし、四輪の場合はタイミングベルトがある関係でこういう構造になっています。じゃあ実際お漏らしする場所のガスケットはどうなのかってーと……
○ヘッドカバーガスケットの組み付けのポイント
この指さし部分です。赤く残ってるのは以前の作業時か新車組立時に塗布された液体ガスケットです。1枚目の写真で示した角の部分なんですが、オートバイではそのまま組んでしまいますが、四輪だと液体ガスケットを塗布するようにという指示がサービスマニュアルに大抵存在します。オートバイと同じノリでやっちまうと後ですぐオモラシして悲惨な目に遭うのはオーナー自身ってわけなので、二輪で整備に慣れてる人は本当にここは注意してください。
その塗り方ですが、まずヘッド側を徹底的に脱脂し掃除します。この際、別にオイルストーンで磨く必要はないそうです。特にEX側カムギアから結構派手に滴るので、まっさきにここの漏えい防止と清掃をしたほうがいいです。んで、充分に脱脂と清掃が終われば塗布するんですが、薄く引き伸ばすのではなく、ターゲットの場所に「ブリッ!」と盛ってしまいます。4か所すべてに盛ったところであとは普通にヘッドカバーを組み付ければ完了。なお締め付けは中2本>外4本の順で締めます。組みあがればあとはフツーに車体を組み戻せば終わりです。なお、作業は冷間にやるのは当然ですし、液ガス塗布後は1時間はエンジンを掛けるのはNGです。
なお、今回はぐったヘッドカバーの内側の様子ですが、当日一緒に作業していた某ディーラー店舗の主任メカな友人が思わずうなったほど綺麗なヘッドでした。これで123,500q走行です。この個体は新車のころからずっと、3000qごとのオイル交換、定期的にちゃんとエンジンをぶん回すという運転だけを守ってきた車体でした。たったそれだけのことなんですが、こうやってエンジン内部の状態の良さに繋がるわけです。いや私も軽自動車でここまで綺麗なヘッドの中身は初めて見ました。管理がいいとこうやって延命できるっていう良い見本です。なお、私の所に来るまではずっと奈良盆地の中南部でしか走ってこなかった車体なので、塩化カルシウムの被害をほとんど受けていません。そのせいで18年という経年車にも関わらず、足回りとフレームもほとんど錆がないのも大当たりと言われるポイントですね。
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