K11 March(Micra) G#:エンジンのヘンなgdgdの解消
 入庫当初からエンジン関係で低速域での不具合にずっと悩まされていました。状況的には「1速2速でアイドリング付近からちょい開けでクラッチ繋いでスタート、すぐアクセルオフして再度ユルくアクセルを開けるとぎくしゃくする」というのが1点、「2速か3速全開でストレートを走ってきてブレーキング、ヘアピンからの立ち上がりでぎくしゃくして失速する」というのが1点の合計2点の不具合が出ていました。ネット上でK11マーチのエンジン関係の不具合の症例を調べても出てくるのはほとんどが1000tのAT車のものばかりで、1348tのMT車のものはほぼ出てこない有様です。というわけでネット上の情報をほとんどあてにせずに手さぐり作業が始まりました。

 まず真っ先に手を付けて疑ったのは燃料ポンプの不具合ですが、こちらはK12用の新品に入れ替えても全く改善しませんでした。また、プラグの劣化も疑ったのですが、もともと前オーナーはデンソーのイリジウムの6番を入れていました。純正指定どおりNGKレジスターの5番に入れ替えていますが、当然これでもなんら不具合は改善しません。で、改めてボンネットの中を観察していくと、多分これじゃね?っていう点が1つ見つかります。下の写真がビフォーなんですが、そう、白いヘンテコダクトです。そもそもエンジンとエキパイの真上を通ってる時点でアホちゃうかっていうダクトなんですが、このダクトが原因の8割を握っていたことがあとから判明します。
 
 
 とりあえずディーラーではこのヘンテコダクトを外すために色々部品を発注しノーマルのダクト類一式を頼んでいました。その上で点火タイミングも疑っていたのでディーラーと相談しながらあれこれ様子をみようとしたのですが、点火時期を確認するためにセンサー補正を外すべくスロットルポジションセンサーのコネクタを抜くと、なぜか2000rpmになったあとにエンストします。通常、センサーが1本抜けるとエラーモードになり2000rpmと2800rpmの間を行ったり来たりする(ハッチングする)ようになるんですが、なぜかエンストします。念のためAACバルブ(他社だとエアフローセンサー)のコネクタも抜くと今度は2000〜2800rpmでハッチングするようになりました。あとはディーラーのメカマンに教えてもらった通りの方法で1番プラグの周波数をオシロスコープで見ながら650rpmに調整して点火時期を確認したら15度でした。ディーラーで教えてもらったのは、もし今回の流れのような結果だとAACバルブの汚染なので、通常通りに組み戻して調整した後にダイアグモードに入ると多分エアフロ異常のコードを返すはずだというので試してみたら、やっぱりエアフロの異常でした。つまり原因の一部がAACバルブということで確定です。で、原因もわかりノーマル戻しの部品も揃ったので作業開始。

 で、外したAACバルブがこれです。本来、内側のプラスチックは緑色してるはずなんですが……(゚д゚)
 
 
 洗い終わりました。なお名古屋のGarage355のご協力のもと作業が進んでおります。手前に見えてるスリットと内側の間の流量で流入吸気量を測っていてそれに合わせて燃調をとっています。ここがブローバイで真っ黒に詰まってしまいます。また、ここを掃除するときですが、エアクリーナーボックス内にブローバイからのトラップがあるんですがここのフェルトフィルターもきっちり洗浄しないと簡単に症状が再発します。
 
 
 ノーマルに吸気系を組み戻しました。フェンダーの左側から吸気してるのはエンジンからの熱の影響を避けるためです。また、エアコンホースの上部で蛇腹に形成されているのにも吸気共鳴を起こさないための工夫です。ノーマルのダクトにはバッテリーの横にレゾネーターボックスが存在します。これを外してしまうと低速で吸気量が大きく変化した場合、エアの流れが入る側と出る側でぶつかって共鳴してしまいブブゼラみたいな状況が発生。それがエンジンの低速域でのギクシャクに繋がります。ノーマルのエアクリーナーボックスの容量が足りてないのをレゾネーターで補助してるような構造になってるんですよ。ミンカラを見ていると訳の分からないダクトを組んであーだこーだとやってる残念な人たちがいっぱいいるんですが、あれはっきり言って意味がないので真似をしないほうがいいですよ。


 

  
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