○外宮参拝
大江町についたらまずは定石どおり、外宮の豊受大神社から参拝を開始します。ここは実は巨大な前方後円墳の上に鎮座する神社。宮司さんには色々グチを聞いてもらい、その都度アドバイスと叱咤激励を受け、励ましてもらっていたりします。面白いオッサンなんですよ。でも残念、この日はあの名物宮司さんはおられませんでした。
この神社、何度来てもすごいのが境内へあがる階段で、これがもう凄まじくぐちゃぐちゃなんです。ビンボーな神社というのは大体どこもこんな程度で、広い境内を整備しきる資金が全然ないんだそうです。この石段をあがり、黒木鳥居を潜ると空気が一変します。その前まであった喧騒がウソのように静かになり、たおやかな空気が流れるのです。そう、これは伊勢外宮で感じたのと同じ空気で、包み込むような優しさがありました。しっかり参拝し、大祓えの祝詞を奏上し、境内を辞去しました。そう、ここからが本日のメインイベント、日室岳遥拝の神事です。
○内宮と夏越の神事
元伊勢皇大神社へつくとなんか様子が変。キャンドルがどーのこーのという見慣れない看板があります。どうもとある団体が皇大神社の夏越神事とタイアップしたらしく、神事のあとになにやら座談会とかがあるらしいです。一の鳥居近くの駐車場にはそのイベントが目当てで来たのであろう方々がちらほらと見受けられました。いつもどおり下の駐車場にFZRを駐機し、機材を担いで参道を上がっていきます。この参道、近い話だと3年程前、皇族の方が直接歩いて昇り、参拝されたそうです。皇族の方々って女性だとヒールのあるパンプスみたいなのを履いて歩いておられるはずなんですが、あれでこの石段を登っていったなんて、ほんとスゴいです。石段の敷石を見ていると、古の時代よりここが元伊勢として崇敬され、多くの人々がここを踏みしめて昇ったのだということが良くわかります。石段を登るにつれて深まる神域感と温かみと軽い緊張感、そんな空気が好きだったりします。
この石段をエッチラオッチラ登ってやっとこさ境内にたどり着き、神事の前にしっかり参拝しておき、また絵馬を奉納しました。多分まだ日室岳の遥拝所の絵馬壇にあるはず……。探したらダメですよ(微笑)。
#05年の話なのですでに燃納されています
○夏越の神事
今回は前述の通り他の団体とタイアップもあるので、いつもと趣向が違うようですが、基本はまず同じとのこと。日室岳の山頂に日が沈むころになると遥拝所にあつまり、宮司の挨拶と祝詞奏上から神事が始まりました。ここでは我々は2つの祝詞を唱えることになりました。1つは神事の前に唱える「禊祓え詞」、もう1つは大祓で唱える「大祓祝詞」です。ここの夏越の大祓は各々が祝詞を唱え、清めの動作を行うことにより穢れを祓い、枯れてしまった気を取り戻そうという神事です。かくして私も宮司さんや禰宜さんに続き、祝詞を唱えながら祓い清めを行いました。この祓い清めには紙垂と藁を刻んで混ぜたものを自分の体に左、右、左とふりかけるのですが、こういう「自分でやる」祓いの儀式というのは本当に新鮮でしたよ。また来年も参加しようかな、なんて思いました。
清め祓えの儀式の後は歌と音楽の奉納というのがあったのですが、これはシンセによる4楽章形式の交響曲でした。起承転結それぞれを表現する楽章が進むに連れて太陽は日室岳の向こうに落ちていき、それを見てると自然とこみ上げてくるものがありました。そんな我々と温かい目で皇大神は見ておられるのだろうか、なんて考えながら歌に聞き入り、ゆっくりとしたときが流れた神事でした。
少し話がそれます。ちなみにこの「自分で祓う」系の神事ですが、西宮市の越木岩神社の夏越大祓でも似たような儀式がありました。この禊祓えを自分で行うという神社は地元密着型や、崇敬者との距離が近い神社に多いみたいです。越木岩神社の夏越の大祓でも先述のとおり、自ら紙片で祓うという儀式がありました。ただしここは05年ではみんなで祓祝詞を唱えたのですが、今年はそれはありませんでした。私はこの皇大神社の宮司さんのいう「言霊を用いて祓う」という考えは好きです。06年は私が右手に大火傷を負ったので参加出来ませんでした。 |